板もへたってきたことだし、どうするかと考えていましたが、下記のようなコンセプトでスキー板選びをすることにしました。
1. いまさら、バッジテストを受けることもあるまい。
2. ゲレンデ端(コース外という意味ではありません)や林間コースなどの新雪を楽しみたい。
3. 体力の衰えを公言するわけにはいかないが、いまさら長い板で見栄を張ることもあるまい。
4. 短めなら、腰の強い板がいい。ということで、上級者用とされている板を選ぶ。
社会人になってから、180cm
以下のスキーを履いたことがないのですが、思い切って短い板を購入してみました。従来の板に比較すれば、サイドカーブの曲率半径が極端に小さいいわゆるカービングスキーです。さらに全体として幅が広めになっており、新雪の中でも沈みにくい特性があります。これが、下記のようなメーカーの宣伝文句になっています。昨年まで使用していたのは、185cmカーボンファイバーのわりと細めのスキー板です。カービングスキーは使ったことがありませんでした。従来の板がベースになりますが、とりあえずのインプレッションです。
購入した板 HEAD MONSTER I.M 72 05/06モデル 156cm
メーカーカタログによれば、
"グルーミングバーンがメインで、時にはパウダーなどのオフピステも楽しみたいスキーヤーに最適なマルチタレント・フリーライドモデル。あらゆるバーンコンディションで優れた滑走性能と操作性を発揮します。"
見た感じ、普通のカービングスキーより太めです。
1. 大回り
板を左右に倒すだけでスーっと大回りで回転していくのは、カービングスキー本来の使い方でしょう。この操作は、従来スキーに比べて非常に簡単に、また力を使うことなく操作できます。
大回り時のスピード低下が少ないのも特筆すべき点でしょう。加速感すらあります。従来板とおなじようなリズム、コース取りをすると、次第に速度が上がっていくのがよくわかります。一定速度を保つには、従来よりターンの切り替えを遅くして速度の低下を待ってから次のターンの始動をするとか、ずらしをいれてブレーキするとか、工夫が必要になります。
2. 直進性、スピード
板が短くなったことによって、直進安定性が悪くなる、スピードが低下することが予想されましたが、そんなことはないです。長さとサイドカーブからは考えられないほど直進安定性はよく、クラウチングスタイルの直滑降でもまっすぐに降りていけます。但し、これには条件があって、雪面に対してスキーを必ずフラットにすることが必要になります。少しでも板を倒してエッジを効かせると、その小さな曲率半径でスキー板が左右に持って行かれます。逆の見方をすると、クラウチングのまま、従来より小さな曲率半径で回転が出来ることになります。
190cm超の競技用スキー板が持つ強烈な加速感はさすがにありませんが、スピードの低下はあまり感じないです。
3. 全制動、フルブレーキ、エッジング
全制動、エッジングはカービングスキーの弱点の一つだと思います。高速からフルブレーキすると、従来の板より制動距離が長いことに気がつきます。感触としてエッジが効いていないし、板がばたばたと暴れるのがわかります。エッジングを行うと曲率半径が小さいためにブーツ付近ではなく、端のエッジが強く雪面に押しつけられます。しかし、板が幅広で薄く、結果的に剛性が十分ではなく板がねじれ、エッジが逃げて角度が緩くなってしまうような気がします。
同様に従来の板で横滑りを行うとわずかなエッジングで横滑りが止まるのに対し、カービングスキーでは、少々オーバーアクション気味にして、エッジを立てる必要があります。
4. 小回り
スキーを旋回するテクニックはいくつかあります。単純にシュテム系、パラレル系と分けますが、パラレル系にもいくつかターンのテクニックを分類することが可能です。私が私の言葉で説明しても混乱するだけですので、詳細は省きます。
従来の板とカービングスキーを比較すると、このいくつかのテクニックを容易、やりにくいの2つに分けることが出来ます。
従来の板で、気持ちよく小回りできるのは抜重でターンを始動する方法です。この方法は、ちょうど縄跳びをするような感覚で、左右にスキーを振ります。縄跳びが足で地面を蹴った反力で飛び上がるのと同様にスキー板を雪面に押しつけ、その反力で反対側にスキー板を振るわけですのでスキー板のバネとしての能力を使います。
カービングスキーは、短く、エッジングが弱いため、このバネ性を感じにくく、結果的に反力が少ないのです。そのため、こうした抜重による小回りは従来の板より体力が必要となります。
小回りは、かかと押し出しによる方法がありますが、こちらはバネ性を強く使用しないのでさほど差を感じません。
5. 新雪
新雪性能は、短い、幅広ということもあり、非常に優秀です。極端な後継姿勢によるトップ上げを必要とせずに新雪を漕ぐことが可能です。短いゆえにターン始動も楽です。
6. コブ斜面
あえて一長一短と書かせていただきます。短いので回しやすいのですが、斜面の凹凸が足に伝わりやすく、小回りで述べたように反力が少ないので、ちょいと疲れる場面も出てきます。
7. スキーを踏む
前で交差することは少ないのですが、初見で、後ろで自分の板を自分で踏むことが多かったです。理由は自分ではよくわかっているのですが、まあ、癖だから直すしかないですね。
ターンの始動の際、シュテム系のようにすこしハの字にしてやるとターン始動がやり易いのですが、これはパラレル系のバッジテストの際に減点対象になるようです。それで、スキーの後ろをそろえるために、すこしステップぎみに前を開けるよう意識してターンすることをよくやります。この癖をカービングスキーで足をきっちりそろえてやると、ブーツよりソールが横に出ている分だけ、板をもう片方の板で踏んでしまうのです。
この板を選んだコンセプト通り、バッジテストを考えていなければ、ブライトシステムのように足の間隔を開けてしまえばよいのですが、、、、
8. 総合
どこでも曲がれるという安心感があります。どちらかというと苦手であった急コブ斜面も、恐怖感が減ってきます。八方尾根黒菱のカベもこんなに簡単だったのねというのが初見の感想。途中で息が続かなくなり1回だけ休憩入れましたが、ほぼリフトに沿って楽しく滑り降りることが可能でした。
板の幅が広いことによる弊害は、かなり感じます。少なくとも滑り方を変える必要があります。