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bullet1999年7月17日

 telescop.jpg (30620 バイト)
最近、無性に天体望遠鏡が欲しくなり、インターネットを俳諧していると、天体望遠鏡のキットなるものを見つけました。どうせ、子供のおもちゃクラスだろうと、タカをくくっていたら、反射鏡直径 114mm のニュートン式の天体望遠鏡まである。しかも値段は安い。以前、仕事で光学設計をやっていたこともあり、まあ、何とかなるだろうと、郵便振替でお金を送ってしまいました。
 待つこと半月、お知らせいただいた納期よりちょっと遅れて、荷物が到着しました。早速、夜を徹して組立はじめ、仮組みも含めて作業 6 時間(塗装が乾く時間を除く)ほどで完成しました。気合いを入れて光軸調整。近くの電柱のてっぺんを視野に入れて、久々に望遠鏡の接眼レンズを覗きました。少しコントラストが甘いけど、これは、内面塗装の問題だと思います。(艶消し黒スプレー使わずに植毛紙貼るんだったと後悔) とりあえず像を結んだことに満足です。
 あいにくの梅雨空で出番がないですけど、星空が楽しみです。
 架台の塗装は、後日行う予定。木目を生かしたニス仕上げにしたいのですが、これは非常に時間がかかるので、とりあえず無塗装で組み立ててしまいました。

bulletキットについて

 キットは、以下で購入しました。この KT-10cm 及び架台は、多少の工作の経験と、道具、及び光学の知識を必要とします。鏡筒は、紙筒なのですが、これが木と同じくらいに硬いです。説明書は、良く読めばわかるのですが、`少し難しいかも。架台の組立説明書は、ちょっと図が少ない。
 組立が簡単そうな小口径屈折望遠鏡のキットもあります。

オルビィス株式会社

 kyoutou.jpg (9134 バイト)工作で一番時間がかかるのが、鏡筒への穴あけです。ボール紙製の筒(トイレットペーパーやアルミホイルの芯の厚く大きなもの)に説明書の指示どおりに穴を開けていきます。穴の多くは、直径数mmですので、ドリルを使うと正確にきれいに開けることが出来ます。接眼部を取り付ける穴だけは、直径30mmを大きく、ドリルだけではあけられませんので、大きめのカッターや、ヤスリを使って開けました。穴を開けたら、紙ヤスリで、穴をきれいに整形した後、仮組みをして、光軸を確認します。ファインダーの使い勝手も、ここで確認し、位置を決定すると良いでしょう。

bullet1999年7月18日

 夜 9 時頃、雲の切れ間から、夏の大三角形のうち一つだけ見えた白鳥座のデネブ付近を見てみました。雲が多いこともあり、肉眼では周辺の星は全く見えない状態でしたが、付近に十数個の星を確認できました。口径 10cm といえども集光力は、かなりありますね。
 ピントを外したときの見え方は、恒星がドーナツ型になるなど、セオリーどおりでした。
 ファインダーの取り付け位置ですが、接眼鏡と出来るだけ近い方が、扱いやすいように思います。接眼部と、ほぼ 90°の位置に取り付けたのですが、ちょっと離しすぎたようで、後悔。

bullet1999年7月23日

 午前2時頃、雲の切れ間から、木星を見てみました。恒星と違いはっきりと面積は感じるものの40倍ですので、表面の縞を確認することが出来ませんでした。もっとも、これだけ、もやがかかっていては、そのせいかもしれません。木星の4大衛星のうち、3つははっきりと確認できました。

 moon3.jpg (8502 バイト)午後8時、昨晩と比べると、雲も少なくなり、もやがかかっていますが、月が見えました。恒星は、ベガとアルタイルぐらいしか見えません。ビデオカメラのデジカメモードで、アイピースにカメラを押しつけ、月を撮影してみたのですが、天体写真がこれほど難しいとは、思いもよりませんでした。実際に目で見た月は、小さなクレーターまではっきり見えます。小さいものは、ぼけて見えないのではなくて、小さいから見えないのです。
 しかし、画像にしてみるとがっかりします。ひとつは、ピントが合わせられないこと。オートフォーカスが効きませんから、マニュアルで合わせるのですが、ビデオカメラを扱い慣れていない素人には、ファインダーの荒い画像では、これがうまく合わせられないです。基本的には無限遠なのですが、これが出せない。二つ目は、露出。カメラに任せてしまうと、この画像のように露出オーバーになりますし、暗闇に慣れた目で、露出を調整してしまうと、画像は、鑑賞に耐えないほど暗くなります。この画像のデータは、1/60 絞りオープン、感度9dBアップです。
 くどいようですが、この画像で、望遠鏡の性能を類推しないで下さい。実際は、無数のクレーターが、くっきりと観察できています。

 jupi3.jpg (3133 バイト)木星を同様に撮影してみました(右→)。目で覗くと、衛星が3つはっきりと確認できるのですが、画像では見えないですね。アイピースにビデオカメラを押しつけての撮影ですので、この辺りが限界なのかもしれません。画像では、色収差があるようです。接眼レンズが、かなりチープなものですし、押しビスで横から押さえているので、偏芯しているのだと思います。

 撮影装置のパワーアップは、通常は、接眼部にアダプターをつけて、カメラを固定することになります。しかし、この望遠鏡では、鏡筒が紙筒ですので、強度が不足して、重いカメラは支えきれないでしょう。

 木星に続いて土星の輪も確認できました。しかし40倍では、輪は、かろうじてわかる程度です。もう少し倍率が欲しいです。倍率を上げるためには、焦点距離の短いアイピースを探してくるのも一つの方法ですが、主鏡の焦点距離が 500mm と短いので、3倍バローレンズを購入したほうが良い気もします。

 アンドロメダ星雲(M31)も見たのですが、これは非常に見つけにくいです。もやっていることもあり、ファインダーの口径が小さいので、2等星ぐらいしか見えないコンディションです。それで、8x40の双眼鏡で位置を確認して、やっとこさ入れました。明るい画像を期待していたのですが、雲のように、ぼぉ〜としているだけです。かなり期待はずれ。やはり、川越近辺で、眼視で星雲を観察するには、口径が不足ということでしょうか。シーイングの良い時を狙って、再チャレンジです。

bullet1999年8月2日

 出張帰りに、秋葉原へ寄って、天体望遠鏡屋さんで、以下のものを購入してきました。

 ビクセン 3倍バローレンズ 24.5
 ビクセン 24.5mm接眼レンズ Or 25mm
 MIZAR Or 6mm

 KT-10cmキットに付属している接眼レンズは、焦点距離12mmのもので、プラスチック製。形状から考えるに双眼鏡用のものらしいです。ヤシカの8x40双眼鏡の接眼部をバラしたら形状がそっくりのものが出てきました。所詮、安物と思ったのですが、とりあえず、これを生かす形で、25mm(500/25=20倍)、6mm(500/6=83倍)を購入してきました。
 ビクセンのバローレンズは、接眼部の先端が延びており、これが、鏡筒接眼内部に当たってしまい、奥まで差し込めないことが判明しました。解決方法は3つあります。

  1. バローレンズの先端の外周、あるいは、繰り出し部の内周を削る。
  2. 接眼部を主鏡側に移動し、焦点を手前にもっていき、奥まで差し込まなくてもピントが合うようにする。しかし、これでは斜鏡のケラレが大きくなるし、取り付けられなくなるアイピースがある可能性があるので本末転倒。
  3. 接眼部を 31.7mm に交換。

  惑星を見るには、Or6mmでも倍率が足りず、何とかバローを生かす方法を考えたいです。
 バローレンズの基本原理は、凹レンズを焦点より対物側に挿入することにより、焦点位置をアイピース側に延長しています。ですから、接眼繰り出し部のストロークを考えると、先端を延ばしたデザインになってしまうんですね。

 Or25mmは、ベストマッチです。像は明るくなるし、コントラストも良く、めくるめく星の海です。このアイピースのアイリリーフは、15mmありますが、あまり眼を近づけると、視野全体が見渡せなくなります。眼とアイピースの間合いが難しい。アイリリーフが長いのも、一概に良いとはいえませんね。射出瞳径は、約5mm、副鏡障害は、1.2mm程度と計算されますので、まだ問題にならないです。月は、まぶしいです。接眼部に白い紙をかざすと、月がはっきり写ります。プレヤデス星団は、星の大集合といった感じでよく見えました。
 Or6mmは、木星の衛星4つと、土星の輪が確認できました。木星は、横縞模様が2本あるかなという程度。やっぱり、Or4mmにしておけば良かったかなとちょっと後悔。こちらのアイピースは、アイリリーフが短いため、目を近づけないと、像が見えません。このぐらいになりますと、気流の影響を受けるようになりますね。最初のうち、ゆらゆらして、ピントがうまく合わせられなかったのは、光学系のせいかと思ったのですが、望遠鏡を数時間屋外に放置して、風がおさまってから見たら、かなり良くなっていました。

 これ以上の倍率になると、このドブソニアンタイプの経緯台は、限界ですね。

bullet

1999年8月4日

 3ballow.jpg (8864 バイト)バローレンズの先端を旋盤で削ってしまいました。レンズは、弾性接着剤で固定しました。御覧のように、レンズが突き出た状態ですので、取り扱いは極めてやっかいです。空は、あいにくの曇り空で、星での確認は出来ておりませんが、200倍を越える設定では、ボケボケですね。やはり無理だったかなあ。

 天体望遠鏡は、なかなか難しいですね。ここまでの感想をまとめてみますと

  1.  星雲、星団を見たかったのだが、川越の自宅からでは、口径100mmクラスでは、無理の可能性が高い。近くの山へ持っていって、試してみる必要がありそう。自宅で見ることに固執するならば、さらに大口径が必要。

  2.  肉眼で確認できる星は2等星までの状態で、見えない星へ望遠鏡を向けるのはなかなか難しい。星雲を見つけるのは困難。素人が手軽に楽しむには、自動導入は必須かと思う。

 もう少し口径の大きなドブソニアンキット(口径20cm  59,800円)があるらしいので、それを試してみるか、観測場所を移動することを条件に、ETX-90ECのような小型の自動導入付きを購入するか、今後の機材の方向性は、そんなところでしょうか。

bullet1999年8月6日

 最近、夜は曇りや雨なので、バローレンズの見え具合を、昼間、近くの電柱のてっぺんで見てみました。昼間、風景を見る限りにおいては、バローレンズを使用したことによる画像劣化は、感じられないです。接眼レンズの焦点距離が小さくなるに従い、だんだんコントラストや、ピントが甘くなる傾向は見られますが、基本的には、25mm+3倍バローレンズ より、6mm のほうが、甘くなりますので、バローレンズ使用の画質劣化は少ないと判断できます。むしろ、バローレンズの長さの扱いにくさのほうが目立ちます。ただ、これは、昼間の評価ですので、コントラストが極めて大きい星空では、違った評価が出るかもしれません。なお、6mm+3倍バローレンズでは、昼間でも使用に耐えないです。ボケボケ状態になります。
 接眼レンズと倍率の関係は、以下のようになります。( 括弧内は、バローレンズ使用時です。)

25mm 20倍(60倍)
12mm 42倍(125倍)
6mm 83倍(250倍)

 map_koma.jpg (38371 バイト)午後9時頃、高度が高いと星の見え方にどれほどの違いがあるか見るために、日高市の駒高にあるNTT無線中継所の近くまで行って来ました。標高は 300m というところでしょうか。夏の大三角の中の星を数えてみると、17個。こと座、はくちょう座とも、構成する星がきれいに見えていました。帰ってきて、自宅で10時頃、見上げたら、5〜6個というところですから、ずいぶん違います。
 駒高で、この大三角の中に望遠鏡を向けてみたのですが、20倍で、視界の中に100個ぐらいの星が常に見えているという状態。しかも明るい。観望には場所が大事なんだと、思い知らされたのでした。
 火星を250倍で見てみましたが、表面の色の違いはわかるもののボケボケ状態。でも、思っていたより像が良好で、ちょっとうれしかったです。木星では、横縞が、2〜3本わかります。

bullet1999年9月4日

 ETX-90EC 購入後も、ベランダからちょっと確認用に重宝して使っています。ETX-90ECと比較して、観望時の像の揺れがないことに気が付きました。KT-10専用架台は、かなり優秀な性能です。

bullet1999年9月10日

 夜半から雨でしたが、午前3時半頃、起きてみましたら、天頂付近に木星が見えています。白んでくるまで30分。ETX-90EC を持ち出してセッティングしていたら夜が明けてしまう、といわけで、KT-10 の出番です。木星、土星と天頂付近にあることもあり、揺れず、また輪郭もしっかりしています。星の高度によってかくも見え方が違うとは、驚きでした。例によって、プレアデス、ヒヤデスを楽しんだ後、M42オリオン大星雲へ。今日はトラペジウムがかろうじて4個確認できますね。金星は、ほそ〜い三日月状態、しかし大きいです。見かけ視野では木星ぐらいあるのではないかな。あ、ここでもう時間切れ、空が明るくなり、星々がだんだんと見えなくなっていってしまったのでした。

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