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 2001年末から2002年始にかけて、小口径のアポクロマート屈折望遠鏡を2台ほど入手してしまいました。光量不足があるものの、この手軽さは他には代え難いものがあります。

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FL-70S + ニューポラリス赤道儀

fl70s_np.jpg (60769 バイト)
FL70S 対物径70mm、焦点距離560mm、F8 フローライトアポクロマート

 ビクセン開発工業のオンラインショップで望遠鏡と赤道儀を別々に求めて、合計5万円でした。もちろん、新品です。ファインダーは、6x30mm が付属していましたが、5x70mm に変更しました。しかしながら、主鏡筒が口径 70mm ですので、6x30mm で充分だと思います。
 三脚は、カートンのガラクタ市で探してきた木脚です。
 像を見てまず驚いたのは、背景の黒さです。暗いところで使うと、視野環がわからないほど空が暗く見えます。この背景の暗さゆえに、星雲星団も口径の割によく見えます。惑星像は、屈折らしく縞模様が濃くコントラストが高くなります。色収差は、シリウスなど明るい恒星を視野端に入れると、わずかに紫色が見えますが中央ではわからないです。ちょっと使いにくいのが、ラックアンドピニオンのネジを締めておかないと接眼部がずり落ちること。ずり落ちずかつ調整できるネジの締め加減が微妙です。
 分解能は、口径なりです。木星の縞のディテールなど 20cm   と比較すると倍率を上げてもハッキリしないところが出てきます。
 視細胞の桿体と錐体の特性の違いから、淡い色の差である土星や木星の縞模様などは、明るいほど仔細に見えることは自明です。ですから、口径が小さい→像が暗いということは、眼視の場合、像のコントラスト特に微妙な色合いの変化の認識が難しくなってきます。
 分解能、像の明るさなど、全ての性能において ”はじめに口径ありき” の望遠鏡の世界ですが、手軽さをとるか、像をとるかは悩ましい問題です。
 このセットは、2インチミラーをセットして、自宅前観望用として使っています。

EOS Kiss Digital を直焦点にセットすると、画角はおよそ、2.3°x 1.5°になります。

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BORG ED50 + ミザールK型経緯台 + カーボン三脚

 ed50_k.jpg (83169 バイト)BORG ED50  F.L.500mm f10   ミザールK型経緯台 スリック カーボン三脚 プロ804DX 限定モデル

 お手軽セット。アイピースも含めてデイパックに収まります。運搬を考えファインダーも付けておりませんが、長焦点アイピースを付ければ10倍ぐらいになるので、大きな不便は感じません。
 太陽導入用の照準はつけてあります。画像で鏡筒の正面中央に付いているのがそれです。ホットメルトで取り付けてあり、不要な場合は、鏡筒に傷を付けることなく剥がすこともできます。
 ファインダーを省いたことにより、この望遠鏡の重心位置であるファインダー取り付け台座で鏡筒を支持しています。
 分解能は、口径なりです。木星の縞数本、土星の環は、カッシーニは見えず、色の違いから C 環がわかるといったところです。リゲルは光量が足りないせいか、伴星確認できず、周囲に紫色の光芒(色収差)があります。焦点内外像の回折リングは小口径ですので非常に太く、外周が少しケバだつもののハッキリしています。
 上記のフローライトに比べれば、色収差は多めですが、口径が小さいので余り気になりません。
 使い勝手で気になるのは、ピント合わせがヘリコイドであるという点です。K 型経緯台や赤道儀のようにヘリコイドを操作しても鏡筒が動かない架台ならば問題ありませんが、フリーストップ架台に載せると、ピント合わせ動作で鏡筒の方向がずれてしまいます。なお、この鏡筒では、M42L ヘリコイドを取り付けて、操作感の改善を図っています。しかしながら、M57 と M42L の両ヘリコイドで、回転と伸縮方向が逆という問題もあり、必ずしも操作性は良くないです。

 K型経緯台は、小さい割にしっかりと固定され使用感がよいです。

 カーボン三脚は高価ですが、その軽さと強度で選びました。但し、軽いため、ストーンバッグ必須です。画像を見て頂ければわかるように望遠鏡の仰角により重心が三脚中心より接眼方向にずれますので、倒れる事に関しては注意が必要です。
 中盤カメラが載るぐらいの写真用三脚ならば、雲台を交換すれば小型天体望遠鏡用としても使用することが出来ます。この三脚も太めのパイプを使用し、非常にしっかりとしており、惑星観望のような高倍率でも、よじれなどは感じません。カーボン三脚は振動吸収が良いとの意見もありますが、比較したことはありません。

BORG ED50 に透視ファインダーを付ける(2005年12月18日)

RIMG1893s.JPG (184587 バイト)

 ちょっとベランダに出して星を眺めるには最適な BORG ED50 ですが、ファインダーがありません。そこでお手軽観望に最適な透視(等倍)ファインダーを付けてみました。取り付けに使った金具は 2004 年石川町で買い求めた遊馬製作所製  SL-1 です。鏡筒の中でも肉厚なドローチューブに M3 タップを立てて取り付けました。SL-1 は、ねじ穴加工もちょうど良いところが選べるよう不等間隔にいくつか開けてあり、なかなか心憎い構造になっています。青い色もちょうど良いアクセントになりました。

遊馬製作所 SL-1 へのリンク http://www.scopelife.com/sl/sl-1.htm

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Hαフィルター コロナド SOLARMAX 40/BF-10

solarmax40.jpg (93850 バイト) BORG ED50 にHαフィルターを取り付けました。見え味はかなり良く、太陽を視野いっぱいに捉えている倍率(約40倍、アイピースPL12.4mm)では、解像度に不満はありません。ED50 は、鏡筒の内径に比して対物レンズが小さいためコントラストが充分に得られます。そのためか、このフィルターと相性が良いようです。
 エタロン及び後段の干渉フィルターともティルト機構がありませんが、中心波長はHαに合っているようです。実際には、ほんのわずかにずれていまして、プロミネンスを視野の端に振ると、見えにくくなったり見えなくなったりする様子が方向によって違いがあります。ずれているのは、見かけの視野角で 5 度ぐらいでしょうか。ほぼ中心といえますので支障はないです。
 BF-10 の干渉フィルターの直径が約 10mm ですので、焦点距離の長いアイピースでは周囲がケラれます。アイピースはミスチョイスでも周囲がケラれるだけですが、鏡筒はもう少しシビアです。
 焦点面に結ばれる太陽の像は、F=1000mm で、約10mmとなります。ですから、1000mm以上では、光球がかけてしまうことになります。光球周囲のプロミネンス観察を考えると、最低でも、光球が6〜7mm以下としたいですから、F=700mm 以下の鏡筒が必要です。
 このように、SOLARMAX40では、性能を引き出せる望遠鏡の焦点距離とアイピースに、制約があります。
 このフィルターは、光学系に敏感なように思えます。暑い日差しの中では、アイピースから熱線を感じるので、赤外線カットフィルターを干渉フィルターの前に入れてみましたが、明らかに解像度が低下します。干渉フィルターの後流、アイピースの前に赤外線カットフィルターを取り付けると、解像度に影響は出ません。
 個体ごとの性能の差ですが、何度か観望会で同型品と交換して見比べた限りにおいては、フィルターの個体差より、取り付けた望遠鏡の相性の方が大きく影響する印象を受けました。

 このセットで撮影したプロミネンス像はこちら

究極の可搬性

いくら、小口径といえども、例えば BORG ED50 は、デイパックにやっと収まる程度の大きさがあり、これと三脚、アクセサリを入れたら、他には何も入れられなくなります。双眼鏡のような手軽さで、惑星も観望できる望遠鏡を携帯したい、そんな憧れは、だいぶ以前からありました。

ミニボーグ45ED

borged45_3.jpg (47661 バイト)
口径45mm、f300mm、F6.6、2群2枚EDアポクロマート、マルチコート

borged45_1.jpg (66546 バイト) 発売当初に望遠鏡屋さんの店頭でデモされているのを覗いてみて、”良くできた双眼鏡”のような、歪みが少なく、クリアで透明感のあるすっきりとした寒色系の像を気に入ってしまいました。ミニボーグ50は今ひとつに感じましたので、「これだ!」と思いました。
 購入するまで少し時間がありましたが、結局購入しました。決め手は二つです。

1. ソーラーマックス40が直接取り付けできること。
 ねじ込み一回転ほどとちょっと不安が残るのですが、なんとかねじこめます。梅雨空でじっくりチェックしておりませんが、像は問題無いように思います。構成は、フードを外して、エタロン部を対物レンズ枠に直接ねじ込んでいます。フードにねじ込むことも出来、そのほうがねじ込み回転数が若干増えます。しかし、長さがフード分だけ増加します。接眼部は、7523(M57→M42P1AD)、M47ヘリコイドL、7525(M42→M36.4AD)、31.4 アメリカンサイズアダプタ、ブロッキングフィルター付ダイアゴナルです。
 アイピースのFは、太陽であれば、6mmぐらいが適します。可搬性という点からアイピースの本数を減らす目的で、ナグラーズームがベストマッチでしょうか。(^_^;
 この組合せで、アイピースによっては若干のドローチューブ調整を必要としますが、手持ちのアメリカンサイズアイピースはほとんど使えます。また、通常の望遠鏡として、一番上の画像にあるような天頂プリズムの組合せ、45°地上プリズムとの組合せも問題ありません。

2. borged45_2.jpg (30068 バイト)抜群の可搬性
 下に敷いているのは、100 円均一ショップで購入した A4 版のクッショッンバッグです。この中に余裕で収まってしまいます。

 上の画像では、カサイトレーディングの卓上架台に取り付けています。鏡筒が小さいので、可搬性という点からは、三脚の大きさをこのぐらいで抑えたい気がします。しかしながら、実は卓上架台というのは使える場所が本当に少ないのです。ETX-90EC なども、卓上で使うこともできますが、実際には観望地に望遠鏡がおけるような頑丈なテーブルなんて、そうあるわけでもないし、また、テーブルが邪魔して非常に覗きにくいのです。 そうなると、三脚を持っていくことになりますので、三脚が可搬性のネックになりますでしょうか。鏡筒が小型で、あまり高倍率をかけないという条件ならば、多少軟弱なカメラ用三脚と微動架台の組合せでも、なんとかなりそうです。このカサイトレーディングの卓上三脚の微動架台は取り外すことが可能で、裏面には、1/4インチタップが切られていますので、カメラ三脚への取り付けも可能です。(2003年7月21日)

 borged45_4.jpg (32923 バイト)右の図は、地上プリズムをセットして、フィールドスコープとした場合です。地上プリズムは、ビクセンのアウトレットで入手しました。プリズムが思っていたよりも大きく、ちょっと出っ張ってしまいました。像は、レンズ設計がポロプリズム使用を想定していないためか、少しソフトになる印象を受けますが、それなりにすっきりさを保っています。45°正立プリズムでも良いのですが、地上はストレートタイプが目標に合わせ易いです。ボーグ純正ダハプリズムも考えましたが、ポロの方が明るいか? と試してみました。

 余談ですが、この地上プリズムを入手するために、ビクセン光学にお邪魔しました。ドアを入って、矢印を頼りに階段を上がっていくと、そこには垂涎の光学部品の山が、、、地上プリズム以外に、いくつかめぼしいものを頂いていこうかとも思いましたが、小さいながらも拙宅も既に光学ジャンクの山が築かれており、時間もなかったので、早々に失礼してきました。展示室は、通路が狭いです。3人以上だと身動き取れなくなると思います。ジャンク漁りを満喫したいならば、一人で行った方が良いと思います。

 今年は、まだ梅雨明けしておらず、連日連夜どんよりとした曇空が広がっています。これを持ち出す日が待ち遠しい。 (2003年7月22日)

像について

 低倍率ではさほど目立ちませんが、100倍で電線チェックをしてみますと、だいぶ派手な糸巻き型になります。
(2003年7月26日)

miniBORG60ED

 (2006年3月) かなり迷いましたが、B 品を見つけて購入してしまいました。ファーストライトは 4 月 7 日。アポクロらしいすっきりとした像です。口径比が小さくなった ( 45ED は F6.6、60ED は F5.8 ) ので、収差が増えたのだろうと思っていましたが期待に反して、ピントが鋭い、なかなかの像を結びます。高倍率の像面は、45ED と同様に糸巻き型になりますが、同等か少し少ないか、そんなところです。高倍率像は 45ED よりも格段に良いです。口径差による解像度と光量の増加が明かな情報差をもたらしています。土星は、45ED では、平面ぽく見えますが、60ED では球面を感じ、環の濃淡もはっきりしてきます。
 大きさはかなり大きく、上記の A4 クッションバッグでは、天頂プリズムを外さないと収納できません。それでも、アイピース3〜4本を合わせても、このバッグの中に収まります。

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